ホーチミン市に在住する高齢者を対象に実施したアンケート結果(株式会社3eeeが実施)によれば、高齢者(60歳以上)の実に77%が要介護者(日本の介護度認定による。日本は18.9%)、また、要介護5(寝たきりの状態)は12%(日本は1.7%)であることがわかった。介護は、高齢者本人だけではなくその家族を含めて、ベトナムにおける大きな社会課題となっていることがわかった。
介護制度化の兆しは見えないベトナムだが、ターゲットの富裕層を中心に、定評のある日本の技術を活用していくことで、認知度を高めながら、海外進出を進めていくことが期待される。
ベトナム高齢者の77%が要介護者?!(日本は19%)。(寝たきりは全体の12%!(日本1.7%))
北海道を拠点に、フランチャイズ方式によりデイサービス事業を展開する株式会社3eeeが実施した、ベトナムの高齢者向けオンラインアンケート調査(60歳以上の高齢者と同居する30歳以上の男女を対象、回答者数200名)によれば、ホーチミン市に在住する高齢者(約84万人と推定)のうち、要介護者(日本の定義による介護者)は77%にあたる65万人と推定される(日本は18.9%)。また、要介護5(寝たきりの状態)と回答したのは、全体の12%(日本はわずか1.7%)にも上っていることがわかった。
ベトナムでは外出のサポート(=歩行状態が不安定)を必要とする高齢者が多く、日本の介護度認定に照らせば要支援1・2以上となるために上記のような結果がでた。しかし、要支援1.2だけではなく、要介護5(寝たきり状態)にある重度の高齢者も多く、高齢者本人だけではなくその家族を含めて、大きな社会課題となっていることがわかった。
夫婦共働きで親のケアをする時間がない現状
平行して実施した高齢者への対面による聞き取り取材においても、高齢者の多くは自宅やその周辺で過ごす時間が長く、身体の活動量が減り、筋肉が落ちやせ細っていることがわかった。同居する家族(子供夫婦)の多くは共働きであり、親の介護のための制約があることから、ベトナムの介護市場は大きな潜在性を秘めていることがわかる。ベトナムでは「親の介護は家族、身内で」という価値観が根底にあり、介護制度化の兆しは見えない。このため、ターゲットは当面、富裕層を中心とした価格設定にならざるを得ない。しかし、日本の技術、サービスには定評があり、これらを活用して現地のニーズにマッチした施設、サービスを提供することで、介護という外部サービスの認知度を高めながら、海外進出を進めていくことが望まれる。