ベトナム:急速な高齢化により拡大が見込まれる高齢者ケア市場。「高齢者は家族でケア」を建前にするも介護食品などにもビジネスチャンス

ベトナムは、日本以上のスピードで高齢化社会へと向かっているが、「高齢者は家族がケア」が建前になっており、介護制度の導入には時間を要する。このため、高齢者ケアを支える製品やサービスの開発は未熟ともいえる。しかし、経済発展により「高齢者は家族がケア」の建前も次第に崩れつつあり、介護食をはじめとして幅広い製品を揃える本邦企業にとっては、ビジネスチャンスといえる。

急速な高齢化により拡大が見込まれる高齢者ケア市場

2040年に3,000~4,000億円に成長するベトナムの高齢者ケア市場

ベトナムでは急速な高齢化が進行している。また、経済発展による核家族化の進行や価値観の変化により、「高齢者ケアの負担を軽くしたい」という潜在ニーズが高まりつつある。実際、現地のアンケート調査(AGS社)によると、ベトナムでは、1か月あたり300万ドン~500万ドン未満(約14,600円~約24,400円未満)であれば、介護費用として捻出できると回答した人が多く、65歳以上人口(2020年は全人口9733万人のうちの7.9%=769万人)の20%が要介護者と仮定した場合、介護市場は、2040年には5,300~9,000億円(65歳以上人口は1840万人)の巨大な市場に成長する可能性がある。しかし、介護制度導入には時間を要することから、高齢者ケアを支える製品やサービスの開発は未熟ともいえる(以下、ハノイ市内スーパーの介護食の例)。

左3枚:スーパーマーケット(ハノイ)で売られているレトルトのおかゆ、右1枚:シリアル。調味料を多く含む。

介護(病院)食品は裾野が広がるチャンス

ケアが必要な高齢者の食事は、多くの場合、家族が特別に野菜や肉を柔らかくした料理を作るが、毎食の準備は大きな負担となっている。現状では、食べやすい介護食品や食べ物を飲み込みやすくする「とろみ剤」は流通しておらず、高齢者にすぐ提供できる食品はおかゆやシリアル等に限定されている。高齢者のニーズを満たし、家族の負担を減らすことのできる介護商品にはビジネスチャンスがある。

(文責:ビジネスコンサルティング事業部・浅野)

最新情報をチェックしよう!