ウクライナ:隣国ルーマニア、モルドバ等への避難民に対する緊急援助は住居費、生活費が中心。教育、ヘルスケアは手薄。日本企業にできることはないか

ロシアの軍事侵攻の長期化により、ウクライナに隣接するポーランドやルーマニア、モルドバ等への避難民が増えている。避難民の多くは児童とその母親であり、異国で不自由な避難生活を余儀なくされている。しかし、国連等を通じた緊急援助は住居費、生活費が中心であり、児童の文具や書籍等(ウクライナ語)の購入が難しい状況にある。また、不安定なオンライン授業により、児童の不安やストレスが高まっている。児童だけではなく、母親もストレス、不安、疲労が高まっており、睡眠障害、髪の毛の抜け、肌荒れ等に悩まされる等、深刻な状況にある。緊急支援以外の支援が必要な状況といえる。

緊急援助は住居費、生活費が中心。不安定なオンライン授業を補完する場の確保を

ロシアの軍事侵攻に伴う国外への避難民の多くは児童とその母親であり、異国で不自由な避難生活を余儀なくされている。弊社ウクライナ支援チームの現地調査(ルーマニア、モルドバを対象)によれば、避難民への緊急援助は、住居費の他、最低限の日常生活費(例:ルーマニアの一部地域では一人当たり約600円/日)に限られており、児童の文具や書籍等(ウクライナ語)の購入が難しい状況にある。また、義務教育についてはウクライナ政府によるオンラインによる授業が配信されているものの、配信元のウクライナ国内の停電等により不安定となっている。このため避難児童のストレスや不安は大きく、対面による授業とコミュニケーションの場づくりが求められている。

母親のストレス、不安、疲労も次第に深刻化

ウクライナ避難民は難民キャンプではなく、現地政府が空き家を改良した住居や避難先のホストファミリーの住居に滞在しており分散している。移動手段もあまりなく、必要なコミュニケーションがとれずに不便な状態になっている。また、日中は、児童を現地の学校(放課後を利用した補習が一部で開始されている)やNGOが運営する臨時の補習校への送迎のために忙しい。父親や両親をウクライナに残し、言葉も通じない異国での避難生活に、母親は児童同様、ストレス、不安、疲労が高まっており、睡眠障害、髪の毛の抜け、肌荒れ等に悩まされて、深刻な状況となっている。このほか、移動の制約もあり、食事の質がウクライナのそれに比して低下しており、今後、栄養バランスの改善やメンタルケア等、緊急支援以外の支援が必要な状況にある。日本企業にできる支援はないだろうか。

(文責:ビジネスコンサルティング事業部 荒井)

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