フィリピン:高度化、多様化する途上国の外食ニーズ。都市部中間層の“ワクワク食”トレンドに和食素材を“はめ込む”にはワクワクする食のプロデューサーの役割に期待


フィリピンに「カツ」が刺ささった(ありそうでなかった新・和食)

 マニラ首都圏には、大きなショッピングモールが200以上あり、数多くのレストランやカフェが、家族連れ、カップルで連日賑わう。モールの主役は飲食チェーン店。例えば、マニラ首都圏で21店舗を展開する“トンカツのYabu”グロリエッタ2店では、ロースカツ定食が1156円、エビカツ鮭カツ定食1772円。フィリピンの平均所得からすればかなり高いが、購買力のある首都圏中間層にとっては、何とか「射程内」に入る価格だ。食事どきや週末は、長蛇の列ができる。

 粗めのパン粉で揚げるクリスピーなカツ“Katsu”は、ありそうでなかったJapan発の新しい食べ物。豚はもちろん、鶏も海鮮もある。衣で油が加わるので、脂気の少ないマグロ赤身などでも美味しく作れるのが“Katsu”の強みだ。


新・和食をカフェ飯で?

 フィリピンではカフェも元気。ファーストフードの王者ジョリビーを国内外に1400店舗を展開するほか、店舗総数6000店に及ぶ複数飲食チェーンを運営するジョリビーグループのトニー・タンCEOが雑誌インタビューで語ったところでは、傘下ではカフェ系チェーンの伸びが特に目立つという。カフェは、コーヒーだけではない。ドリンクも多彩だし、カフェ飯のメニューも豊富だ。

つまり、フィリピンでは「空腹を満たすための食事」のみならず、かなりの価格の“Katsu”やおしゃれなカフェ、言い換えれば「ワクワクする食事」にお金を落とす人が増えてきたと言えそうだ。長期にわたる年6%前後の高い経済成長に支えられ、こうした比較的単価の高い“ワクワク食”のトレンドが強まっている。


和食素材を現地トレンドにはめこむプロデューサーに期待

 1億1000万人のフィリピン市場では、JapanやJapanese Inspired(日本風・和風)が飲食のキーワードの一つになっていて、“Katsu”人気はその典型である。Japanひとくくりではなく、Japanという国のブランド力を土台として、例えばHokkaidoやOkinawaといった産地ブランドへの認知も広がりつつある。

もちろん、Japan(日本の農産物や食のスタイル、メニュー)をそのまま海外へ持ち込めばいいという単純な話ではない。“Katsu”のように現地に刺さるのは何なのか(味、食感、カロリー、日本ブランド等)。このような新・和食展開の鍵を握るのは、現地の“ワクワク食”へのトレンドを踏まえ、和食素材(なるべく日本産品であることが望ましい)を「現地化」させるかというプロデューサーとしての役割である。日本の農産物輸出は順調に拡がりをみせているが、今後、さらに加速させるためには、このように、現地のトレンドに和食素材をはめ込んでいくプロデューサーの活躍が期待される。


人気カツ店Yabuのカツ(マニラ市内)。日本人から見れば珍しくないが、フィリピンにとっては全てが新しく、かつ、どこかなじみがある

食品とその裾野産業の展示会WOFEXマニラ。2024年は7万人が来場した。日本最大のFoodexと同じ規模感。


(文責:ビジネスコンサルティング事業部 フィリピン・フードバリューチーム)

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