ベトナム鍋にJapanを入れる

ベトナムといえば、鍋料理。暑いのに鍋?と思われるかもしれないが、タイやカンボジアと同じく、ベトナムも鍋が大好きだ。ベトナム鍋の材料やスープは、日本よりも複雑・多彩かもしれない。例えば、カニのスープで牛肉を食べる、といった贅沢な鍋もある。

回転しゃぶしゃぶのKichi Kichi

回転しゃぶしゃぶ鍋のチェーンKichi Kichi。肉はもちろん、白身魚、鮭、イカ、タコ、貝、練り物、豆腐、野菜、麺などが次々とコンベヤで流れてくる。その多彩さを見ていると、ベトナム鍋には日本食品の入る余地があるかもしれない、と思えてくる。和牛や魚介類、すり身などの加工品、スープの調味料、ゆず胡椒のような薬味類まで。麺類の代わりに、低カロリーのコンニャク麺やモズクもいけるのでは。。
Kichi Kichiは、ベトナム最大の飲食チェーン、ゴールデンゲートグループ(GGG)のブランドの1つ。GGGはベトナム全土で約500店を運営する。しゃぶしゃぶ、キノコ鍋のほか、焼肉、寿司、アジア麺、お好み焼き・鉄板焼き、和定食、タイ料理、フライドチキン、コーヒーなど、展開ブランドは22に上る。たんなる異種ブランドの寄せ集めではなく、本部主導の調達やメニュー開発に取り組む。こうした多様なブランドを持つチェーン企業に日本企業が企画や商材を持ち込めば、商談を効率的に進められるかもしれない。

「「北海道」を売りにする寿司チェーン店」

人口1億人のベトナムへの日本からの輸出データによると、この10年で、調味料類、冷凍加工魚介類はそれぞれ3倍、菓子類も2.5倍に伸びたという。Japanへの関心は依然高いが、Japanをひとくくりにするのは、もはや新味がないのかもしれない。地元資本のTakahiroは、Sushi Hokkaido Sachiという日本食ブランドを展開している。

ただし、現地で消費が広がるのは、やはり「現地化がうまくいったJapan」だ。長きにわたって築かれてきた現地の味覚や好みは厳然としてある。「日本に行かなくても日本を体験できる」をコンセプトにするSushi Hokkaido Sachiでさえ、焼魚を、塩焼きにとどめず、コクのあるチーズ味噌焼きにするなど工夫している。

企画開発力のあるこうした現地企業と組むのは、日本の食品企業にとって有力な選択肢だろう。GGGやTakahiroのような複数ブランド展開企業なら引き出しが多いから、日本側が想像しないようなアイデアが飛び出すかもしれない。


(文責:ビジネスコンサルティング事業部 アジアフードバリューチェーンチーム)

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