インドネシア・タイ:関数電卓を用いた数学授業実践を通じた数学的思考力向上の取り組み(EDU-Portニッポン 令和3・4年度)

カシオ計算機株式会社は、インドネシア・タイの高校生を対象に、数学的思考力の向上を目指し、関数電卓を用いた探究型数学授業の普及活動を進めている(令和3年度、文部科学省が実施する日本型教育の海外展開事業「EDU-Portニッポン」に採択、アイ・シー・ネット株式会社が支援中)。両国では国際競争力向上を見据え数学教育が重視されているため、こうした取り組みが数学概念の理解や論理的思考力の向上につながることを教育関係者に示すべく、パイロット活動を進めている。パイロット校での授業実践では、有効性の実証に成功したと同時に、一部改善点も確認され、小さな成功モデルを積み上げつつ、改善を加えながら現地に根付かせていく必要が再認識された。

数学的思考力向上には教員の指導力、教材の開発、生徒の数学苦手意識が課題

インドネシア・タイでは、産業化の進展を背景に、高度人材、とりわけ数学的思考力を有する人材のニーズが高まっている。実際に現地に進出している日系企業からも、数学的スキルを有する人材を求めており、採用試験に数学のテストを設け参考にしているとの声も聞かれる。しかし、教育現場においては、教員の指導力を向上させる研修機会の不足、思考力を高める教材の不足、生徒の数学への苦手意識など、解決すべき課題は多く、国際学力調査(PISA)の数学リテラシーの順位は下位に留まっている。

パイロット校での数学授業実践を通じ、生徒の数学的思考力向上が検証される

EDU-Port事業1年目(令和3年度)は、関数電卓を用いた数学授業の教材開発に始まり、モデル校での教員研修、パイロット授業の実施、有効性の検証(パイロット授業を受講した生徒へのテストや教員へのアンケート実施・分析)を行った。生徒のテスト結果からは、関数電卓を用いた数学授業によって数学的思考力が向上したことが示され、小さいながらも成功モデルを構築することができた。こうした取り組みや結果は、両国政府関係者にも紹介し賛同を集めつつある。さらにタイでは、教育省と関数電卓活用に向けた協業のためのMoUを締結することができた。今後も引き続き地道な活動を支援させていただきたい。

(文責:ビジネスコンサルティング事業部 太田)

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