ケニア:“テレフォン・ファーマー”がスマート農業の主役に?

ケニアには、野菜栽培に従事する“テレフォンファーマー”と呼ばれる兼業農家がいる。首都ナイロビから携帯電話で遠隔の圃場を管理しながら、週末は圃場に足を運び、栽培状況のモニタリングをする農家である。コロナ禍の中、農作物を国内で自給しようという動きが高まる中、こうしたファーマーの活躍の場が増えており、日本のスマート農業技術の展開上、パートナーになりうるかもしれない。

機械化支援もニーズ 

コロナ禍の中「テレフォンファーマー」(兼業農家)が活躍

ケニアでは、野菜(トマト、キュウリ、キャベツなど)の栽培に従事するテレフォンファーマーと呼ばれる兼業農家がいる。彼らは平日は首都ナイロビで仕事をしながら、携帯電話で遠隔(地方)の圃場で働くスタッフを管理し、週末は地方の圃場に足を運んで栽培状況をモニタリングをしてきたが、コロナ禍の影響で、ケニア国内でも移動に制約が生じていることから、テレフォンファーマーにとって、作物の生育状況等を遠隔から広範囲に、かつ正確にモニタリングする技術へのニーズが高まっている。

 ナイロビのテレフォンファーマー。平日は携帯電話で遠隔の圃場で働くスタッフを管理

農業遠隔管理用センシング技術(Illumium Greenhouse KenyaのHPより)

  スマート農業に参入するベンチャー企業との連携も

  2013年に設立されたIlluminum Greenhouses Kenyaも、このコロナ禍の逆風を追い風に変えているケニア・ベンチャー企業の一つである。Illuminumは、病害虫など土壌の問題を抱える農地が多いケニアにおいて、設立当初から土壌検査とその結果に基づく最適な温室の提案・販売を行ってきており、農業を営む土地の状況を踏まえて着実に実績を伸ばしてきている。このような課題をビジネスチャンスとして捉えたIlluminumではあるが、最近ではコロナ禍の中、遠隔管理用のセンシング技術の普及に着手しており、さらなる展開を目論んでいる。こうした展開の中で、日本のスマート農業技術との連携も十分に考えられ、動向を注目する必要がある。 

(文責:ケニア現地法人・横山)

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