バングラデシュ:輸出品種の導入、栽培支援を通じたビジネス機会の創出を

ジャガイモ生産量世界7位も輸出用品種(加工)が少なく、年400万トンが廃棄。現地政府との輸出品種栽培支援を通じて、新たなジャガイモ調達先、販売先の確保にビジネスチャンス。選別機や収穫機等の機械化支援にもニーズがある。

輸出品種の栽培支援を通じて、調達先、販売先確保のチャンス

バングラデシュのジャガイモ生産量はおよそ1090万トン(2018-2019年)で、世界第7位であるものの、輸出できる品種(加工含む)は流通している17品種のうちのわずか2種にすぎない。このため、生産量は毎年、国内需要を大きく上回るものの、年間約400万トンが廃棄されているのが現状である。輸出用品種(加工)の導入を進めるべく、バングラデシュ政府は2019年から新制度を導入しており、現在、オランダ、ドイツの企業がこの制度を活用し10種(主に加工品種)のテスト栽培を行っており、実証される可能性がある。これにより、本邦企業にとってはジャガイモの新たな調達先、販売先の確保に結びつけるチャンスがある。

左2枚は保存庫から出した種芋と播種前の状態、右2枚は播種前の土壌の状態と新芽

現地政府、試験機関、栽培農家等を巻き込んだ実験を通じた事業機会の創出を

ジャガイモの主要な産地は北西部とダッカ近郊が中心である。北西部には優良栽培農家への小規模ファイナンスサービスを提供するNGOが複数ある他、主要な種芋供給センターのあるディナジプール県もある。新品種の栽培定着には、現地政府(研究機関、試験機関を含む)はもとより、農家、種イモ業者、肥料等販売事業者、仲買人等、多くのステークホルダーを巻き込んだダイナミックな社会実験が有効である。その実験に、バングラデシュへの積極的支援を打ち出している日本政府や、輸出品種の栽培技術や流通チャネル、選別機や収穫機等優れた農業機械を製造する本邦メーカー等がコミットすることで、新品種定着の実現性が高まる。これにより、バングラデシュの輸出競争力と農業所得が向上し、本邦企業にとってもビジネスチャンスにつながる。

(文責:バングラデシュ事務所)