アフリカ:TICAD9(横浜) 本邦スタートアップ企業のアフリカ・ビジネスのホンネ

  • 2025年11月5日
  • 2025年11月5日
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8月20日から22日まで横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に参加した。初日は、入場に90分待ちになるほどの人が来場し、会場は熱気に包まれていた。本ニュースレターでは、参加した本邦スタートアップ企業がアフリカ諸国でどのようなビジネスを目論んでいるか、またビジネスのホンネ等を紹介する。

投資、ビジネスの推進を前面に押し出した展示、運営にシフト

今回のテーマは「Co-create innovative solutions with Africa(アフリカと共にイノベーションを創出する)」。日本とアフリカが一緒に価値を生み出していこうという理念が掲げられていた。とはいえ実際の展示や運営を見ていると、やはり中心は「日本からの投資促進」「日本企業の紹介」。ブースの多くは企業展示で占められ、NGOや大学は少し離れたホールに配置されていた。TICADが従来の「支援」型から、より明確に「投資とビジネスの推進」を前面に出す場へと変化していることがうかがえた。

熱気を感じるTICAD会場のウェルカムゲート

宇宙、再エネ、ポップカルチャー等の新たなビジネスの切り口も

今回目を引いたのは「宇宙」「水素等・再生可能エネルギー」「ポップカルチャー」といった新しい切り口である。会場入口にはアニメやマンガを活用した展示があり、来場者は必ずここのポップカルチャーのエリアを通り抜けなければならない動線になっていた。アフリカから来た参加者の中にも「漫画オタク」世代がアフリカには多いとの声が。ポップカルチャーの輸出だけではなく、保健や農業、インフラ等のビジネス展開の有効なマーケティングツールとして活用できる可能性もうかがえた。また、宇宙関連のセミナーは立ち見が出るほど盛況で、これまでの農業・保健・インフラが中心であった協力分野に、新産業領域が加わりつつあることを感じさせた。

現地における収益モデル構築、マネタイズの難しさが課題(出展企業の声から)

アジアでのビジネス展開の経験をもとに、アフリカ進出についてお話しされるMitas Medical社 北社長

ヘルスケア分野のスタートアップのセッションでは「アフリカでいかに収益モデルを構築できるか」という課題解決と事業性の両立を模索する現場ならではの苦労がリアルに語られていた。行政に依存したビジネスは不確実性が高く、CSRを通じたBtoB展開を模索する声もあった。遺伝子検査企業からは「今は種まき期、10年後に大きな市場へ」という期待と同時に「マネタイズの難しさ」も率直に語られていた。また、当社がご支援した実績があるSOIK様やMITAS Medical様もTICADセッションで登壇し、現地でのパートナーシップの大切さを改めて感じる機会になった。

・株式会社MITAS Medical

モバイル医療機器をスマートフォンに装着し、専用アプリを通じて遠隔地から眼科医に情報を共有・相談できるサービスを提供。白内障による失明を防ぎ、眼科領域でのサステナブルなビジネスモデル構築を目指す。

・株式会社SOIK

妊産婦・新生児のリスクを地域医療従事者が早期把握できるモバイルアプリやデータ管理システムを開発・導入。BtoG型の官民連携や国連機関との協働に強みを持ち、コンゴ民主共和国では公共調達に成功。現在はアフリカ複数国での展開を目指し、保健サービスの質向上を、事業を通して支援。

(開発コンサルティング事業第二部・渋谷朋子)

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