~大阪・関西万博パビリオンでのワイン・プロモーション参加から みえた課題と示唆~
ポルトガル・パビリオンでのプロモーションは多くの来場者を集めた一方、主催者側の目的と手法の不一致や演出・言語対応の不足等、洗練されたプロモーションに慣れた日本だけに目立つ点もあった。日本でのプロモーションには、主催者側にもきめ細かな配慮が求められる。
大阪・関西万博ポルトガルパビリオン ワイン・プロモーションに参加
閉幕まで残り1ヶ月を切った大阪・関西万博。弊社は、3年前より、大阪・関西万博に参加する約100カ国の途上国による展示計画の策定支援(JICA)や世界規模の課題を解決する取組みをハイライトするベストプラクティスプログラムの選定事務局(博覧会協会)等を通じて万博開催の準備、運営に携わってきた。本稿ではポルトガルパビリオンにおけるワインプロモーション支援の事例を取り上げる。
一気通貫性、システマチックな運営が当然の日本ではきめ細かな準備を
弊社は、ポルトガル政府の管理の下、ポルトガルワイン協会との契約を締結し、事前準備から当日の運営、通訳、会場設営、撤収まで一貫して支援した。イベントにはポルトガルを代表するワイン生産者が参加し、2日間で約500名が来場するなど、日本市場との接点創出に貴重な機会となった。一方で、実施にあたっては、日本人の目線からすればいくつかの課題が見られた。ワイン生産者はBtoBの商談機会を想定していたが、実際のイベントは一般消費者向け(BtoC)であり、販売導線や購入案内の準備も十分でなかったため、来場者の関心をビジネス成果に転換する機会がやや限定的となった。



写真:ポルトガルパビリオンにおけるワインプロモーションの様子(弊社は運営に参加)
商品だけではなく、出展者の服装や言葉遣い、雰囲気も含めた演出が重要
日本市場では、商品の魅力だけでなく、出展者の服装や雰囲気といった「見せ方」も重要である。今回は服装や資料の言語対応が統一されず、ブランド印象や購買意欲に影響を与えた可能性がある。特に言語対応は重要で、日本語資料の有無が理解度や関心を大きく左右した。日本語で価格や購入方法を示した生産者は効果的にPRできた一方、準備がない生産者は魅力を十分に伝えられなかった。
日本市場攻略の鍵は「目的起点の設計」
日本市場での販促戦略を考える上でプロモーションの目的を起点に全体を設計する重要性を再確認した。目的を明確にし、ターゲット設定や販売導線、演出、言語対応を戦略的に組み合わせることが成果につながる。今後、日本市場進出を目指す企業にとっても、この視点を計画に反映させることが成功の鍵となる。
(文責:ビジネスコンサルティング事業部 齋藤)