バングラデシュ:高度経済成長に伴う食品安全・加工技術へのニーズの高まり

 バングラデシュでは今、農業バリューチェーンの強靭化がトレンドの一つになっている。各国からの投資や支援も活発であり、米農務省は農産物輸出振興策として30億円を拠出し、産地から同国最大の貿易港チッタゴン港までのコールドチェーンなどを整備することをアナウンスした。日本は国際協力機構(JICA)を通じて、バングラデシュの食品安全庁支援技術協力プロジェクトに5億円程度を拠出し、バングラデシュの食品安全行政の質の向上を図っている。さらに日本は、食品加工企業向けツーステップローン(有償)の拠出や市場志向型小農支援技術プロジェクトの実施もしている。

食品安全管理技術の向上による農作物への付加価値

 バングラデシュでは、世界的にも稀な肥沃な大地を持ち、潜在的な農業生産力が高いことをベースに、食品加工産業を強靭化しようとしている。季節になれば、マンゴーなど、あふれるほどの素材が実るが、ほとんどが加工されず、素材のままで販売され、日持ちがせず、安い値段で売られているのが実情。1人名目GDPが2,000ドル程度という経済発展段階のバングラデシュでは、食品安全管理技術の向上が、輸出振興策としても、国民の健康のためにも重要なファクターになりつつある。

マンゴー専門取引業者(ラッシャヒ管区)
工場内の食品安全管理に使う掲示(ダッカ管区)

食品加工機械のニーズの高まり

バングラデシュで食品安全に携わる人材の知識・技術が高まり、バングラデシュ全体の民間食品事業者の食品安全管理技術が向上すれば、輸出による外貨獲得を目的に、食品加工機械のニーズが高まることも予想される。食品加工機械は中国製、インド製が大半を占めるが、包装機械など一部の高度な技術を要する製品については日本製も使われている。バングラデシュの発展を促進するためには日本企業を含めた外国投資が有効なのは言うまでもない。ダッカの建設ラッシュは日本の高度経済成長期を彷彿とさせ、バングラデシュは成長の真っただ中にあるといえる。

マンゴー専門取引業者(ラッシャヒ管区)
建設ラッシュが続くダッカ市内

(文責:ビジネスコンサルティング事業部 小山)

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