エチオピア:女性の悩みを解決する“フェムテック”の可能性

  • 2021年11月5日
  • 2021年11月19日
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女性をエンパワーする潮流を背景に、世界的に注目が集まっているフェムテック(Fem-Tech)。フェムテックとは、FemaleとTechnologyを組み合わせた造語で、月経・妊娠出産・更年期など女性が抱える悩みを解決するためのテクノロジーを用いた商品・サービスのこと。例えば、エチオピアをはじめとする開発途上国では、購入資金の不足、物流網やゴミ処理システムの未整備から、使い捨てナプキンの使用が現実的でない場合もある。吸水ショーツや月経カップ等は、そのような環境下にある女性の生理中、ひいては将来の選択肢を増やすことに貢献できる可能性を秘めている。

生理用品の普及していないアフリカ諸国で高まる感染リスク

使い捨てナプキンの使用が一般的ではないアフリカ等の途上国では、生理中の女性の多くは自作の布ナプキンやボロ布などを利用している。しかし、使用する布によっては感染症などのリスクが避けられない。WHOの報告書によれば、エチオピアで適切な生理用品が使用できないために感染症などのリスクにさらされている女性の割合は5人に1人にのぼる。さらに、吸水性の低さから経血が漏れてしまうことも多く、生理中は外出を控えたり、通学を諦めたりせざるを得ない。仕事に行けない、学校を欠席して授業についていけない等、生理用品の不足は健康を脅かすだけでなく、長期的に女性の機会と可能性を奪っている。フェムテックで、このような開発途上国に暮らす女性のニーズに応えたい。

 

フェムテック市場の拡大、女性の生計向上の可能性

上記のような状況を打開できるフェムテックの一例が、吸水ショーツや月経カップである。どちらも適切に洗浄すれば、安全に何度でも使える点が現地の環境や習慣に適しており、女性が生理中も普段通りの生活を送るための大きな助けになる。現在は先進国を中心とした付加価値販売で市場を拡大しているフェムテックであるが、例えば、サブサハラアフリカの女性人口約5.5億人のうち、65%が生理期間にあたる10-55歳であることからも、潜在市場の大きさが理解できる。人口増加や経済成長の点からも有望な市場であることは言うまでもない。さらには、生産技術の展開による女性の縫製技術の習得、流通・販売への関与など、様々な段階で女性の能力強化や生計向上に繋がる活動を取り入れることも検討できる。フェムテックの展開が女性のエンパワーメントを加速させることを期待する。

(文責:ビジネスコンサルティング事業部 太田)

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