廃棄物処理施設の整備が立ち遅れているベトナムだが、中でもプラスチックやビニールについては、ようやく使用・廃棄の規制が強化されている。高いリサイクル技術を有する日系企業にとって、現地企業への技術移転を通じたビジネスチャンスが見込まれる。
動き出したプラスチック使用・廃棄の規制
ベトナムでは、急激な都市化の進展に伴い、多くの廃棄物が日々排出されているが、廃棄物処理施設の整備が追いついておらず、大きな課題となっている。ハノイ市とホーチミン市の2大都市だけで、毎日2,000トン以上のプラスチックやビニール袋などがゴミとして排されており、ベトナム政府は、従来のビニール袋類の使用を、2010年と比べて65%削減するという目標を掲げている。この目標実現に向けて、プラスチックリサイクルに特化した工業団地を整備したほか、2026年からは、自然分解しにくい従来のビニール袋の生産を全面的に禁止する方針である。また、分解しにくいビニール袋に対する環境保護税を高めたり、市民にビニール袋が引き起こす環境問題などの知識を広めることも始めている。
日本のリサイクル技術に高い関心
現在、廃プラスチックの輸入者は工場を有する製造者に限定されており、工場は環境基準を満たすライセンスを取得し、廃プラスチックを製造用原料として輸入し、完成品(最終財)まで製造できることが必要となっている。ベトナムプラスチック協会によると、最終財の製造技術やノウハウを有する日系企業にとっては、競争相手となる企業が少なく引き合いが増えるなど、ビジネスチャンスとなる可能性があるという。「日本のリサイクル技術は進んでいるため、日系企業による関連分野への投資拡大やベトナム企業との協業、当協会と日本の専門家との協力を望む」とのコメントを出している。排出元から最終処分場までの経路で生活をする利害関係者の関与を重視することが重要である。
(文責:スリランカ現地法人・高野)